10日分の売上を翌期に繰り越す方法

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会社を経営している場合には、事業年度(例:4月1日~翌年の3月31日)ごとに収入と支出の合計金額を計算して決算書を作成します。

決算により利益が確定したら、黒字であればその年の法人税を納めなければなりません。例えば決算日が3月31日の会社であれば、4月1日~翌年3月31日までの期間中の収入と支出の合計額を計算して利益を確定します。

原則として事業年度ごとの決算書に基づいて税務署に確定申告を行って、必要であれば法人税を納付しなければなりません。

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発生主義に基づく決算

事業年度内の収支は決算日までに支払いを行った必要経費や支払いを受けた売上の合計額ではなく、売り上げや経費の発生によって決まりまります。このことを「発生主義」と呼びます。

決算日が3月31日の会社であれば、3月中にサービスを提供したり商品を納入してから4月以降に支払いを受けるケースが考えられます。製造業で3月中に原料を納入してもらってから、翌月に代金を支払うこともあります。

このような場合には、実際にお金が支払われるのは翌事業年度ですが、売り上げや経費が発生したのは決算日前の3月中となります。このように決算期前に発生した出来事については、代金の支払いが済んでいない分も決算書に含めなければなりません。

代金の支払いが済んでいなくても年度内の決算に含める「発生主義」が採用されている理由は、脱税を防ぐためです。もし、出来事の発生ではなく、代金の支払いを基準に決算書を作成すると、都合の良いように支払日を4月以降に先延ばしをしたり3月以前に早めることで意図的に年度内の利益を操作することができてしまうからです。

意図的な「期ずれ」は重加算税

3月は日本の多くの会社が決算を行うため、他の時期よりも大きな金額のお金が動きます。もし、3月31日以前または以後に意図的に支払日を調整すると年度内の利益に大きな影響を及ぼすことが可能で、税金の支払額を減らすことができてしまいます。

決算日前後の時期に収入と支出を意図的に操作して脱税を行う行為のことを、「期ずれ」と呼びます。税務調査の際に「期ずれ」が指摘された場合には、修正申告や追加納税が求められることがあります。

意図的に「期ずれ」を行ったことが発覚すると、課税逃れとみなされて重加算税が加算されることがあるのでご法度です。

しかし、必要経費の支払いを前倒しすることで、事業年度内の支出を増やすことは可能です。事業年度内に原料の仕入れや機械メンテナンスなどの作業を済ませてしまえば良いからです。

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10日分の売上を翌期に繰り越す方法

これに対して売り上げについては取引先や顧客の都合によって決まるので、会社の判断で先延ばしをすることは不可能です。

基本的に売上金の受け取り日ではなくて、収入と支出の出来事が発生した日を基準にして事業年度内(4月1日~翌3月31日)の決算書を作成しなければなりません。

仮に会社の決算日が3月20日の場合でも、3月21日~3月31日までの10日分の売上や経費も計算して申告を行う必要があります。

業種によってはどうしても3月31日よりも前に決算を行わなければならない場合があり、会社の決算日と事業年度にズレが存在すると会計処理が煩雑になってしまいます。

実はある一定の条件を満たす場合にのみ、合法的に決算期時期をまたいで売り上げを翌事業年度に繰り越す方法(特例)が存在します。ただし、繰り越しができるのは最長でも決算期までの10日分までに限られます。10日分の売上や経費を翌事業年度に繰り越しが認められるための条件は「法人税基本通達」で定められていて、以下の3点です。

・商習慣やその他相当の理由が存在する事
・決算締切日は事業年度終了(3月31日)の日以前の概ね10日以内である事
・毎期継続して適用をする事

これらの3つの条件をすべて満たしている場合にのみ、3月の最後の10日分の売上や経費を翌事業年度分に繰り越すことが可能です。

特例の3つの条件

「商習慣やその他相当の理由」

例えば会社の事業が3月末から4月上旬にかけて繁忙期を迎えるという理由で決算日を3月20日にずらすようなケースが考えられます。

「概ね10日以内」

よく事業年度に繰り越しが認められるのは「概ね10日以内」とされているので、最長でも10日分となります。

「毎期継続して適用をする」

「毎期継続して適用をする」とは、年度ごとに会社にとって都合が良くなるように経費の繰り越しをしたりしなかったりすることは認められていないということです。一度この特例を適用したら、翌事業年度以後もこれを続けなければなりません。

売り上げを翌事業年度に持ち越す方法は、会社の決算日を3月20日に設定して、会社設立または事業内容を変更した最初の事業年度末にこの特例を利用することです。

最初のみ、任意に10日間分の売り上げを翌事業年度に繰り越すことが可能です。翌事業年度以降は決算に含める期間が固定されてしまうので、10日分の売り上げを繰り越して節税ができるのは実質的に初年度のみとなります。

この特例は事務手続きの負担を軽減する目的で認められているので、初年度の節税以外に決算書を作成する際の負担を軽くするために活用することも出来ます。

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