青色?白色?わからない
開業してまもなく1年、そろそろ確定申告のことを真剣に考えないと。。。最初の申告はとにかくわからないことだらけで不安がいっぱいですよね。
青とか白とか、なんで「色」なんだろうということから始まって、違いは何かとか、どっちが得かとか、そんな方々にわかりやすく解説しています。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは、以下の3つです。
①最高65万円の特別控除が受けられること
②3年まで赤字が繰り越せること
③家族に対する給与を経費にできること
一方の白色申告には、個人事業開業の際に申請が不要で、帳簿付けの手間が減るといったメリットがあります。確定申告に関する提出書類が多少減りますから、手続きが面倒だと感じていたり、開業の申請をしない場合は白色申告の一択です。
開業の申告を一切行っていないと、確定申告の色は白色になりますし、青色申告の準備を忘れていたり、手間を嫌って手続きをしないケースでも自動的に白色申告です。白色申告をする人は、自発的に選ぶ人ばかりではないので、気が付けば青色の選択肢がなかったということもあり得ます。
逆に青色申告のメリットを知らなかったり、制度自体を把握していない可能性もあるでしょう。青色申告の開業申告期限は、開業日から原則として2ヶ月までですから、この間に制度を把握しなかったり申告に遅れると、その年の申告は白色のみです。
あえて白色申告を選ぶ理由~白色申告のメリット
青色申告制度のメリットを大きく感じない、もしくは得られる利点が小さいことからあえて見送るケースも存在します。意図的に白色申告を選ぶことがあるとしたら、それは正確な帳簿付けを忘れていたり、確定申告に割く時間が限られている場合などです。
確定申告の事前申請を必要としないので、開業で忙しく手続きが間に合わなかった時にも役立ちます。積極的に白色申告の選択を行う理由を挙げるなら、経営に借金が不要で赤字もなく、最高65万円の控除を必要としないなどでしょう。
記帳は家計簿を付けるようなイメージで済みますから、帳簿の管理の負担を軽くしたいといった場合もあてはまります。何より、青色申告で事業の規模が大きくなると、税理士に相談して内容を精査してもらう必要があります。
税理士選びや相談費用に時間も必要ですから、そういった負担を嫌う人も白色申告を選ぶ傾向です。コストの問題は会計ソフトで対応できますが、それでも大幅に楽になるわけではなく、白色申告と比べれば差があります。白色でも、支出を事業に関連付けると経費で申告が行えるので、そこを上手く活用できれば利点になります。
白色申告のメリット
領収書を発行してもらったり、保管して記録も付ける手間はありますが、1つあたりの金額が小さくても、塵も積もると馬鹿にできないです。10万円以下という金額の条件はありますが、購入したものを経費にできるのは白色申告のメリットです。
そもそも、給与所得を受け取る本業を持っている人は、最低65万円の所得控除が使えるので、青色申告の特別控除の旨味は減ります。副業の収入が小さいので白色申告でも構わない、といった理由なら納税者であれば納得できる判断です。
個人事業が本業の場合は所得控除がないので、そのケースなら青色申告制度を使った方がお得でしょう。所得300万円以下の割合で見ると、青色申告は約半数で残りが白色申告です。白色申告の割合は、年収が上がっていくほど減少していく傾向で、500万円以上では約7割、1000万円以上だと約8割が青色申告者です。
結論として青白か白色か
どちらを選択するかは自由ですが、割合的には青色申告の方が多いですから、良く考えてメリットがある方を選ぶことが大切です。
青色申告は難しい、そのような抵抗感から白色を選択するのも頷けます。経理の知識や担当者がいないことから、帳簿の管理が難しく断念してしまったり、書類を作成するハードルを高く感じるケースなどがあります。
白色も確定申告に違いはないので、いい加減な帳簿付けや確定をしても良いわけではないです。その点は青色と共通していますから、両者の間にある違いは、帳簿管理の差や書類作成の作業量位なものです。
青色申告を勉強してみたものの、中々理解が進まずに諦めてしまったり、周りが白色申告ばかりなのでそれにつられて、ということもあり得るでしょう。本来は青色申告が確定申告の本筋で、白色は簡易的な申告方法として用意されています。前者よりも、後者のメリットは薄くデメリットにさえなりますから、個人事業者も何時かは移行するつもりで帳簿を付けたり、青色申告に挑戦することが重要です。
2014年からは、白色申告でも記帳の義務が発生しているので、少なくとも簡易な帳簿を付けて記録を残す必要があります。この簡易的な帳簿は、青色申告においても記録することが求められますから、白色申告をする予定で青色に切り替えるのも難しくなくなっています。
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なぜ青色なのか?青色申告の誕生秘話を解説しています。詳しくはこちらの記事
をご覧ください。

帳簿付けの習慣化
帳簿の管理に関する差は縮まる一方で、メリットとデメリットは明確に差が開いていますから、今後は白色申告を選択する旨味が少ないです。事業を始めたばかりの個人事業主だと、確かに確定申告の手続きは簡単な方が魅力的です。
ところが、30万円までの資産を経費にできる少額減価償却資産の特例が使えなくなるので、少しでも無駄を減らしたい人にとってはデメリットです。パソコンやスマートフォン、あるいはタブレットPCなどを購入していると、これらを30万円まで資産として計上できるのが少額減価償却資産です。白色申告では経費にできない金額ですから、今後の事業を考えるとそこが大きな違いに表れます。
帳簿を付ける手間は、やり方を覚えて日常的な作業にしてしまえば、やがて体が学習して作業が楽になります。複式簿記は勉強しなければいけませんが、近年は便利な会計ソフトが登場しているので、ソフトの力を借りればハードルが乗り越えられます。
分からない言葉をインターネットで調べながら記帳を行っていくと、帳簿管理のポイントやコツが少しずつ分かってきます。ソフトは導入時にコストが発生しますが、月額サービスやクラウドタイプなら手頃ですし、青色申告で控除が受けられるとコストの相殺が実現します。
青色の難しさはこの程度で、白色との手続きの難易度は思いの外大きくないですから、思い切って挑戦を行えば誰でも青色申告が達成できます。
白色申告を選択している人の多くは、申告の難しさや手間といった噂から、過剰に難しく考えたり誤解している部分が小さくないでしょう。つまりなぜ青色でなく白色申告をするのかとの問いには、手続きを忘れてしまったり、手間を嫌って消極的に選んでいるからという答えが導き出せます。