小規模企業共済は個人事業主や会社経営者の強い味方
退職金制度は大手企業のみの制度ではありません。個人事業主や会社経営者の場合、退職金制度そのものがないため、老後の資金は自分で貯めるしか方法がないとあきらめてはいませんか。
そんな個人経営者におすすめなのが、小規模企業共済です。個人事業者は自分に退職金を用意することが出来ませんが、小規模企業共済に加入すれば、個人事業主が事業を止めてしまった場合や、役員が退職してしまった場合でも、自分で退職金を積み立てて掛け金に応じたお金を受け取ることが出来ますので、老後の生活を心配することはありません。
また、毎月積み立てた掛け金そのものも、小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、節税対策をすることが出来ますので、是非個人事業主の方はこの共済に加入して、老後の資金対策と節税対策の両方を行いましょう。
小規模企業共済の加入条件
小規模企業共済に加入するには、建設業や製造業など宿泊業や娯楽業のサービス業など、常時雇用する従業員の数が20人以下の個人事業主や会社の役員が加入することが出来ます。
また、宿泊業や娯楽業を除いたサービス業を営んでおり、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主や会社の役員が加入することが出来る決まりがあります。
毎月の掛け金は、1000円から7万円の範囲内で自由に設定することが出来ますし、途中から掛金を増額、減額することが出来ます。
商売が繁盛している時は掛金を増やしたり、赤字経営の時は掛金を減らしたりすることが出来ますので無理なく掛金を支払い続けることが出来るでしょう。景気によって左右されやすい小規模事業者にとっては、これはありがたい共済です。
小規模企業共済は契約者貸付制度も充実
他にも個人事業主は経営がうまくいかない困った時期も訪れることがあるでしょう。資金繰りに困ったときは、契約者貸付制度がありますので、これまで納付した掛け金の合計額の範囲内で事業資金の貸し付けを受けることが出来ます。
通常、金融機関にお金を融資してもらうときには厳しい審査がありますし、小さな個人事業主に対してお金を貸し渋ることもあります。
しかし、小規模企業共済の場合、担保保証人なしでお金を貸し付けてもらうことが出来ますので、借り入れ手続きも早く行うことが出来るというメリットになるでしょう。
個人事業主にとって経営が厳しいときは、他金融機関の融資が受けにくくなるので、万が一の時に備えて加入をしておくと色々とメリットがあります。
小規模企業共済のデメリット
小規模企業共済はメリットばかりではありません。それは掛け金の納付月数が240か月未満の場合、受け取ることが出来る解約手当金が掛金残高を下回ってしまうことがあります。
また、掛け金の納付月数が12か月未満で解約してしまった場合は、解約手当金さえもらうことが出来ませんので掛け捨てになってしまうので、掛け金が無駄になってしまいます。
掛け金が無駄にならないようにするためには、毎月の掛け金の範囲が1000円から7万円の範囲内ですので、たとえ1000円でもかけ続けていれば、240か月後には掛け金が元本より多くもらえますので、コツコツとかけ続けることが大切です。
経営が悪化したときには貸付もおこなってくれるので、まさに小さな小規模企業の味方となってくれるでしょう。企業の退職金制度に加入できない個人事業主や会社の役員にとっては、唯一加入することが出来る小規模企業共済ですので、是非加入をしておきたい制度といえます。
小規模企業共済金は所得控除される
また一年間の掛金である小規模企業共済金はすべて事業所得から所得控除として差し引くことが出来ますので、節税対策になります。
全額というところがポイントで、これが生命保険料控除の場合だと年間100万円の保険料を支払った場合は、所得から差し引くことが出来る金額は12万円にしかなりませんので、小規模企業共済の掛け金の方が生命保険の掛け金よりも大きな節税対策になるということです。
自分で老後のために定期積立などで預金をした場合は、節税対策にもなりませんが小規模企業共済なら掛金すべてが節税対策になりますので、個人事業主の方は加入した方がよいでしょう。
小規模企業共済金の受取方法
小規模企業共済は個人事業主や会社の役員が加入できる共済です。お店などを経営している個人事業主はいずれ事業を廃止しなければならない時が来ますし、会社の役員の場合は会社辞める時が来ます。共済金の支払いはその時に行われるのですが、共済金の支払いには税金がかかります。
共済金をすべて受け取る一括受取、分割で受け取ったときの分割受取という方法があるのですが、双方税金の計算方法に違いがありますので注意しましょう。
一括受取で共済金を受け取った場合は退職所得扱いとなり、共済金の額から退職所得控除額を差し引き、二分の一をかけた額が退職所得となり、さらに退職所得控除額から二分の一をかけた額が課税の対象となりますので、税金の負担額も小さくなります。
分割受取をした場合の共済金は公的年金等の雑所得扱いになります。共済金から公的年金等控除額を差し引いた額に税金がかかる仕組みです。