要らない機械や器具・装置などを処分する節税方法
所得を減らして節税をする方法として、要らない機械や器具・装置などを処分する方法もあります。一般家庭であれば生活ゴミや粗大ゴミを捨てるのに多額の費用を支払うケースはありません。
これに対して事業用の機械や装置の中には、処分をするために多額の費用を必要とする場合があります。機械の解体・処理費用も必要経費として利益から差し引くことができるので、節税につながります。
会社の不要な固定資産を処分すると廃棄をするために支払った費用の他にも、失った資産の帳簿価額を固定資産除却損として計上することができます。
失った資産の帳簿価格とは、機械を値段から処分をするまでの間に計上してきた減価償却費の累計をマイナスした価額のことです。使用可能な機械を減価償却が済んでいない状態で処分すれば、残りの資産額の分を損失に計上することができるということです。
例えば、事業縮小で会社の機械を処分して1千万円分の固定資産除却損を計上したら、翌年度以降の利益から1千万円分まで差し引くことができます。
法人や個人(フリーランス)でも固定資産除却損を計上することができるので、この方法は法人化せずに事業を行っている方も有効な節税方法です。
減価償却が済んでいる古い機械の処分
古い機械で既に減価償却が済んでいる場合には、帳簿価格がゼロなので固定資産除却損に計上することはできません。それでも維持費や保管場所に費用がかかっている場合、不要な機械を手放すことには大きなメリットがあります。
減価償却が済んでいない高価な機械(取得金額が10万円以上)は固定資産とみなされ、使用していなくても単に保有しているだけで償却資産税が課税されてしまいます。
これは自動車税や不動産の固定資産税などと同じように、持っているだけで納めなければならない税金です。ちなみに自動車は機械ですが、自動車税・自動車重量税などが課税されるので償却資産税の対象外です。
会社が保有する鉄道車両・船舶・航空機も機械ですが、これらは固定資産税が課税されます。比較的新しくて使わなくなってしまった機械を処分すると、固定資産除却損に計上できるのと償却資産税を節約することが可能なので節税に効果的です。
自動車・鉄道車両・船舶・航空機などの機械でも会社の事業で使用しないものであれば、処分をすることで節税をすることができます。
固定資産台帳の確認が大事
節税のためにいらなくなった機械(固定資産)を処分する際は、固定資産台帳を確認するようにしましょう。固定資産台帳を見れば、固定資産の種類・購入年月日・購入費用・減価償却の情報を確認することができます。
使用しない不要な機械の中でも、減価償却が終わっていない固定資産の方が処分することによる節税効果が大きくなります。使わない機械を処分する場合には、まず最初に固定資産台帳を見ながら使用しない資産のリストアップしましょう。
処理費用の計算
処分する予定の不要な機械・装置を決めたら、必要な処理費用を計算します。まだ使える機械であれば、中古品として売れる場合があるからです。
売却ができなければ、費用を計上して廃棄物処理の専門業者に解体・処理を依頼しなければなりません。
黒字で利益が出ている場合には、事業で得られる利益から実際に支払った費用を差し引くことができます。赤字であれば節税をすることができませんが、売却して得られる収入を赤字分と相殺することが可能です。
利益が多い年に処理費用の負担をしなければならない機械の処分を実施することで、節税効果が大きくなります。ちなみに機械以外にも会社が保有する土地や建物などの不動産・コピー機などの高額な備品などで不要な資産を処分することにより、節税をすることができます。
「有姿除却」という節約方法
いらなくなった機械で減価償却が済んでおらず資産価値が残っている場合に、物理的に廃棄・解体をしなくても帳簿上から消滅させてしまう方法もあります。
このような処分方法を「有姿除却」といい、固定資産台帳から抹消して償却資産税を節約することができます。これは物理的に廃棄を行うのを後回しにしておき、帳簿上の資産価値をゼロにしてしまう方法です。
例えば、使わなくなった機械があって倉庫で眠っている場合や、赤字で廃棄に必要な費用が大きな負担になるといった時に「有姿除却」が有効です。
利益が多い年に費用を計上して、廃棄物処理業者に依頼して処分をすることができます。「有姿除却」に必要な費用の計算方法は、「廃棄をした時点で減価償却されていない残っている金額」から「解体処理をするために必要な見込価額」を引いた金額となります。
「有姿除却」で処分する際の注意点
「有姿除却」でいらない機械を処分する際の注意点は、その機械が使用できない状態で保管をする必要がある事です。
実際には使用しなくても税務署が使用可能な状態であると判断をすると、「有姿除却」が認めてもらえなくなってしまうからです。
作業場などに保管する際は、一部の部品が取れて使用できない状態にしておくようにしましょう。使用可能な状態で売却ができる資産は「有姿除却」ではなく、下取りに出してしまった方がお得です。